皮革工芸展「静かなる革の声」
07/05/22(火)〜07/05/27(日)Gallery元町にて個展を開催いたしました。初個展にもかかわらず、沢山の方々にお越しいただき、お祝いや激励の言葉で埋め尽くされた一週間。おかげ様をもちまして無事終了いたしました。
「個展をやるぞ!」
そう決めたのが2月の中旬。場所の都合もあって、準備期間は僅か3ヶ月だった。今までに個展などやったこともなく、まったくのゼロスタートだった僕にとっては、ある意味無謀な挑戦でもあったのだが、そんなことを言っていても始らない。
「やると決めたんだから、やるんだ!」 たったその一言にしがみつき、個展まではすべての娯楽はシャットアウト。ストイックな、かつ孤独な環境に身を投じ、僕はスタートを切った。
いつものように、出来あがった時が納期です。それでは到底間に合わないのは明白だ。僕はまず会場のレイアウト、飾りつけ等のアイディアを、何通りもメモ帳に描き出した。そこから必要な作品数を導き、各々の作品のイメージを、コンセプトに照らし合せながら膨らませていった。
作品のイメージを、下手くそなイラストにまとめ上げ、木型の設計、切削作業に進む。朝から晩までひたすら木型を削る。勢い余って自分の指まで削る。絆創膏から血が滲む。それでもお構いなしに木型を削る。毎度のことながら、切削作業が始ると、僕の指先はボロボロになる(ーー;)
遅くとも、3月末にはすべての木型を完成させたかった。だけども修正に修正を重ねて、完成したのは4月中旬。後々の作業に時間が掛ることを知っていた僕は、少しずつ焦りを覚えた。それでも、そんな気持を無視して先に進む。
木型から型紙を起す。細かいパーツの寸法を確認し、それらを型紙に落とし込む。用意してあった革材料に初めて包丁が入る。いわばココまでの作業は準備だ。これからが本番だ。時間がなくとも焦ってはいけない。ひとつづつ丁寧に、自分の手を信じて作り上げるのみ。コツコツと地味でありながらも、その場その場で本気をぶつけていく。その繰返しこそが良い作品を生むのだ。
そう信じて疑わない僕と、一方で焦りを感じたままの僕。二人の自分の根比べが暫く続く。5月に入っても作品は出来あがってこなかった。でもそれで良い。個展の前日までにすべてが揃えばそれで良しだ。余裕はなかったけれど、何故か落着いていた。
個展まであと二日。僕はすべての作業を止めた。必要最小限の数は出来あがった。一瞬口元が緩み、深く溜息をついたが、すぐに気持を引締め直し、最後の最後、会場の飾りつけの詳細を練り始めた。必要なものを買い揃え、事務仕事を片付ける。荷造りを済ませれば、いよいよ会場へ搬入だ。

前の週の作品が片付けられ、がらんとした会場。そこへ大雑把に自分の作品を並べ、全体のバランスを伺う。自分の作業部屋でしか見たことがなかった作品も、会場に並べるとまた、違った表情を見せた。
「いいかお前ら、人前に出る時は姿勢正しく、しゃきっと良い顔見せるんだぞ!!」
僕は心の中で檄を飛ばし、搬入作業を終えた。深夜2時過ぎ。静まり返った元町で、会場だけにぽつんと灯りがついていた。
出来ることはすべてやった。寝不足も手伝って、テンションが上がったまま僕は明日を迎えた。

シャッターを開け、掃除を済ませ、一息入れ始めていたら、早速最初のお客様が見えた。予想外にお祝いのお花まで届き始めた。だんだん個展ぽくなってきたなぁと、クールを装いながらも、やっぱり嬉しさは隠し切れなかった。
期間中は色々な人たちにお越しいただいた。友人知人をはじめ、ネットで知合った人、遠い所から電車に揺られ、わざわざ僕に会いに来てくださった人、乗っていたバスから見えたので、降りて立寄ってくださった人もいた。やっぱり嬉しい。
「作品を見られて良かった。」
「“頑張った!” を感じることが出来た。私も頑張ります。」
「会えて嬉しかった。」
メールボックスには、沢山の感想が寄せられていた。
いつもは作業部屋に、黙々と孤独の中にいる。だけども、「ひとりじゃないんだな。」 僕は多くの人たちの中で、その想いを貰い、励まされ、だから頑張れるんだ。そんなことを改めて、再認識することができた。
「ありがとう。」 ひたすらありがとうだ。作業机の目の前に、「よし、やるぞ!」 と貼られた一枚の紙切れ。このまま剥さずに、いつまでも感謝し、また次へ向おうと思う。これからも、もっと、もっと進まなければならない。
「よし、やるぞ!」
会場へお越しくださった方々へ。改めてお礼申上げます。
「ありがとう!!」

